強く揉んでもらう。痛いくらいストレッチする。強い刺激を入れる。
施術直後は効いた気がするのに、帰る頃にはまた重くなり、翌日には元通り。
そんな経験を繰り返していないでしょうか。
肩こり、腰痛、頭痛、膝の痛み。こうした慢性的な不調に対して、強く揉んでもらう、痛いくらいストレッチする、強い刺激を入れる——という方法を続けている方は少なくありません。
施術直後は、「かなり効いた感じがする」「身体が軽くなった」「よく伸びた」と感じる。ところが、家に帰る頃にはまた重くなり、翌日には元に戻っている。
「身体の奥が硬いなら、もっと強く押せばいい」——そう考えるのは自然です。しかし、身体はそれほど単純ではありません。
深い筋肉に到達するまでには、皮膚、皮下組織、筋膜、表層の筋肉など、いくつもの組織があります。外側から強く押したからといって、深部だけに刺激が入るわけではありません。むしろ、手前にある組織すべてに圧がかかります。
強すぎる刺激では、身体が防御反応を起こし、周囲の筋肉をさらに緊張させることさえあります。「痛いから効いている」「強いから奥まで届いている」とは限らないのです。
SNSでは、痛いストレッチ、痛いマッサージ、強い矯正——受けている人が顔をゆがめるような施術が「これだけ痛いから効く」というように見せられていることがあります。「痛いくらい頑張らないと治らない」という考え方も、いまだに残っています。
しかし、痛みは身体にとって危険を知らせる信号です。強い痛みを与えれば、身体はその刺激から身を守ろうとします。
身体をゆるめたいのに、強い刺激によって身体が逆に緊張することがあるのです。最近のリハビリテーションや疼痛管理でも、できるだけ痛みを増やさず、必要最小限の刺激で動きを回復させるという考え方が重視されるようになっています。
痛いストレッチでも、深部まで変わるとは限りません。身体には、伸びやすい組織と、動きにくい組織があります。強くストレッチすると、皮膚や表層の筋肉など比較的動きやすいところは引き伸ばされますが、本当に動かしたい深部は、ほとんど変わっていないことがあります。
大腰筋、横隔膜、股関節の深層筋。こうした筋肉は身体のかなり奥にあるため、表面の筋肉のように直接つまんだり揉みほぐしたりすることはできません。お腹を強く押したからといって、大腰筋だけを選択的に揉んでいるわけではないのです。
ただし、直接揉めないからといって、緩められないわけではありません。ここが重要です。
深い筋肉を緩めたいとき、必ずしもストレッチする必要はありません。むしろ深層筋では、伸ばすよりも別の方法の方が変化しやすいことがあります。
筋肉を安全な範囲で一度しっかり収縮させ、その後に力を抜く。収縮後に筋緊張が下がりやすくなることがあります。
筋肉そのものを押すのではなく、その筋肉が関係する関節を、痛みのない範囲でゆっくり動かす。動きの中で筋肉が自然に伸び縮みする環境を作ります。
筋肉が最も力を抜きやすい位置に身体を置き、その状態で呼吸や小さな動きを使う。強く伸ばさなくても筋緊張が下がることがあります。
横隔膜や胸郭周囲の筋肉では、強く押すよりも呼吸に合わせて肋骨や胸郭を動かした方が、深部の緊張が変わりやすいことがあります。
つまり、深い筋肉を変える方法は「強く押す」「強く伸ばす」だけではありません。むしろ、縮める・動かす・呼吸させる・力を抜きやすい位置に置く——こうした方法の方が、身体にとって安全で、結果的に深部が変わりやすいことがあります。




当院では、頭蓋仙骨療法・内臓へのアプローチ・深部への電気刺激などを組み合わせ、症状や部位に応じて「動かし方を変える」手段を選んでいます。
マッサージを受けると、肩や腰が軽くなる。これはおかしなことではありません。表面の筋肉がゆるみ、血流が変われば、身体は一時的に楽になります。問題は、その奥です。
身体の深部には、姿勢や呼吸、関節の動きを支えている筋肉や組織があります。大腰筋。横隔膜。股関節の深部。胸郭周囲。こうした場所が十分に動いていなければ、身体は別の場所を使って動作を成立させます。そして、その代わりに働き続けた場所に、痛みやコリが出ます。
大腰筋や股関節周囲が十分に働いていなければ、本来は股関節で行う動きを、腰が代わりに行うことがあります。その結果、腰の筋肉が硬くなり、腰が痛くなります。
そこで腰を揉むと、一度は楽になります。しかし大腰筋や股関節の動きは変わっていないため、また腰が代わりに働き、また腰が張る——この繰り返しです。
横隔膜や胸郭が十分に動かず、呼吸が浅くなっている場合、身体は呼吸を補うために首や肩の筋肉を使います。息を吸うたびに、首や肩が働きます。
その状態で肩を揉めば、一度はゆるみます。しかし呼吸の仕組みが変わっていなければ、次の呼吸からまた首や肩を使う。だから数時間後には再び硬くなります。
慢性的な痛みを見るとき、「どこが痛いですか?」だけでは不十分だと考えています。もっと重要なのは、どこが十分に動けていないのか、どこが本来の役割を果たせていないのか、です。
身体は、一部が動かなくなったからといって、すぐに動作をやめるわけではありません。別の場所を使って、何とか動きを成立させます。これを代償動作と呼びます。
私が考える「深い治療」は、単純に身体の奥へ強い刺激を入れることではありません。
姿勢、関節の動き、呼吸、胸郭、骨盤、股関節、顎、左右差、代償動作。身体全体を確認し、症状のある場所ではなく、その症状を作っている負担を探します。
大腰筋や横隔膜などは、身体のかなり深い位置にあります。こうした組織を、単純に外側から強く揉むだけで変えようとするのは効率的とは言えません。必要なのは、その組織の位置、周囲の関節、呼吸、姿勢、筋膜のつながりなどを考えながら、深部が動ける環境を作ることです。
大腰筋が動いても、股関節が動かなければ意味がありません。横隔膜が動いても、胸郭が硬いままなら呼吸は大きく変わりません。深部へのアプローチと同時に、関節、筋膜、胸郭、骨盤、背骨など、身体全体の動きを整える必要があります。
ここが一番重要です。慢性痛の施術で、私が本当に変えたいのは「筋肉の硬さ」ではありません。変えたいのは、身体の使い方です。
深部が動けるようになると、今まで代わりに頑張っていた場所が、頑張り続ける必要がなくなります。股関節が動けば、腰が無理に動かなくて済む。胸郭や横隔膜が動けば、首や肩で呼吸を補わなくて済む。そうすると、表面に出ていた緊張も、自然に減りやすくなります。
施術後によく行われるのは「筋肉が柔らかくなりましたね」という確認です。もちろんそれもひとつの変化ですが、慢性痛ではそれだけでは足りません。本当に確認したいのは、身体の動きが変わったか、です。
筋肉が柔らかくなっても、動作が変わっていなければ、また同じ場所へ負担が集まる可能性があります。
慢性痛では、施術直後に身体が軽くなること自体は、それほど珍しくありません。むしろ重要なのはその後です。
施術直後は楽。でも帰宅する頃には戻る。翌日には元通り——身体の深いところに、まだ変わっていない問題が残っている可能性があります。
施術後の動きが変わり、翌日、数日後まで以前より楽な状態が続いている——身体の使い方そのものが変わり始めている可能性があります。
痛みが長く続くほど、「もっと強くやってもらわないと効かない」と考えやすくなります。強いマッサージ、痛いストレッチ、強い矯正、強い刺激。でも、それを何か月も、何年も続けているのに変わっていないのであれば、一度考えてみてほしいのです。本当に足りないのは、刺激の強さでしょうか。それとも、治療の深さでしょうか。
慢性痛では、痛い場所だけを見るのではなく身体全体を見る。硬い場所をさらに強く刺激するのではなく、なぜそこが硬くなったのかを見る。表面をゆるめるだけではなく、深部の動きを変える。そして、その結果として姿勢、関節の動き、呼吸、痛みがどう変化したかを確認する——私は、この考え方がとても重要だと思っています。

身体の奥に残っている問題を見つけ、深部からアプローチするために、20年にわたりオステオパシーを軸とした施術を行っています。
頭蓋仙骨療法、内臓へのアプローチ、そして深部への電気刺激——当院では、症状や部位に応じてこれらを組み合わせながら、身体全体の使い方を整えていきます。
※ 動きやすい服装でお越しください
「その場では楽になる。でもまた戻る」を繰り返しているなら、一度、深部からのアプローチを体感してください。
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